第6回 保土谷化学工業株式会社 上海事務所 首席代表 田母神 健さん

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田母神さんのご紹介

田母神さんは、郡山市のご出身で、保土谷化学工業株式会社に入社後、人事異動により2006年7月31日から上海事務所首席代表を務めています。それまでは中国との関わりはほとんどなく、赴任の1ヶ月くらい前に辞令をもらい、中国語もままならないまま赴任されたそうです。

中国進出の理由と現在の業務

上海事務所は1997年11月に設立、田母神さんは3代目の主席代表になるそうです。
主な業務は、次のとおりです。

  1. 同社の製品を売り込むこと。但し、中国系の会社向けというより、中国に進出した日系企業向けが多いとのこと。日本の製造業の多くは中国に進出しており、ここへ同社の最先端化学を応用した製品を供給するというものです。
  2. 同社が使う原材料を調達すること。こちらは、中国系の会社ということが多いそうです。
  3. 中国の国家政策及び同業他社の取り組み等を調査すること。環境問題への取り組みなど、中国の国家政策や、これに対する現地企業の対応等を調査し、本社にフィードバックしています。

設立当初は、同社製品の販路拡大が最も重要な業務でしたが、最近では、原材料の調達や各種調査へ、その重点が変わってきているそうです。中国に進出した日系企業でも調達の決定は本社で行っているケースが多い一方、中国では知的財産権を守るための措置をとる必要があり、また、中国国家の政策が及ぼす影響が大きいことから、このように変わってきたとのことです。

ところで、営業している際、”日本製が安全だから”という理由で声がかかることがあるそうです。中国でも食の安全に対する意識が高まってきていますが、同社の製品である食用色素(食品着色料)に関して、このようなケースが多いとのこと。まさに”日本”というブランドが同社に好影響を与えた一例であり、日系企業で良かったと思える瞬間だそうです。

保土谷化学工業の製品

1916年、日本発の電解法苛性ソーダ製造の開始以来、電子材料、染料、除草剤、樹脂材料、ポリウレタンなど、同社の製品は多岐にわたります。大きな流れとしては、単純な製品は縮小していく一方、より高度な技術を使った付加価値の高い製品へとシフトさせているとのことで、まさに、高付加価値商品への”選択と集中”を実践されています。

ここでは、一例として、福島県にある郡山工場の主要な製品を紹介します。これらは総て、同社のコア・育成事業のとなっていることから、郡山工場はまさに、同社の主力工場と言えます。

  1. 電化制御剤(CCA:Charge Control Agent):コピー機やレーザープリンター用のトナーに入れる添加剤。(世界シェア1位)
  2. 電荷輸送材(CTM:Charge Transfer Material):コピー機やレーザープリンター用のドラムに使用される有機光導電体(OPC:Organic Photo Conductor、光を当てたときだけ電流が流れる有機物)の材料。
  3. 正孔輸送材(HTM:Hole Transporting Material):有機ELの材料。(世界シェア1位) 有機EL(Electroluminescence、電界発光)ディスプレイは、電気を流すと光る有機物質が使われており、明るく鮮明、省電力で超薄型であることから、次世代ディスプレイとして注目されています。

中国ビジネスのポイント

「上海に来てようやく1年が経とうとしておりますが、まだまだ分からないことだらけで、日々勉強中です。」と謙遜されますが、貴重なお話をお伺いすることができました。

  1. 中国の捉え方
    仕事上、中国国内の出張が多いのですが、特にその際、思うことは、”上海のみを見て中国を理解したと考えてはいけない”ということです。中国や、上海を中心とする沿岸部の成長ぶりについてはマスコミ等によりたくさんの報道がなされているとおりですが、上海でも少し郊外に行っただけでまったく違った生活が見えてきますし、内陸の省へ行くとなおさら顕著です。例えば、空港に着いてもタクシーがいない、タクシーに乗るのが怖い、ゴミなどを平気で捨てるなど街が汚れており不衛生である、トイレがもの凄く汚れている(用を足すことを忘れるほど)、極貧の人がたくさんいる、など。対中ビジネスを考える際は、これらをすべて含めた総合体として中国を捉える必要があります。
  2. 知的財産権保護
    知的財産権を守っていくため、情報管理には気を使っています。商品を売るためにはサンプルの提示が不可欠ですが、これをむやみに出してしまうと、類似品が作られる可能性があります。たとえ最先端技術で作られているとしても、最新の解析機で分析されると裸同然です。そこで、サンプルやノウハウを必要以上に出さないという配慮も必要になってきます。

その他

ご趣味は単車で、日本にいらした頃は1,200ccのハーレーダビットソンでツーリングを楽しんでいたそうです。さすがに上海では乗っておりませんが、その代わりテニスやソフトボールなどを楽しまれているとのこと。とても爽やかな田母神さんらしいご趣味だと、妙に納得してしまいました。

また、田母神さんは今まで単身赴任でしたが、もうすぐ奥様と3人のお子様が上海へいらっしゃるそうです。目下の悩みは、ご家族をどこへ連れて行こうかということ。小さい子供が安心して遊べるところが意外と少ないのです。その一方で、等身大の中国を見せてあげたいというご希望もお持ちです。ご家族の皆様と一緒の生活となり、仕事でもプライベートでも、よりいっそう充実されることでしょうか。今後ますますのご活躍をご期待申し上げます。

会社概要

  1. 名称:保土谷化学工業株式会社 上海事務所
  2. 本社設立:1916年(大正5年)12月11日
  3. 郡山工場設立:1934年(昭和9年)旧東洋曹達(株)を合併
  4. 上海事務所開設:1997年11月
  5. スタッフ:秘書1名、運転手1名 (ともに中国人)
  6. 連絡先
    〒200336 中華人民共和国上海市延安西路2201号 上海国際貿易中心2609室
    Tel: 021-6295-6611 Fax: 021-6295-2543
    http://www.hodogaya.co.jp

2007年7月19日
福島県上海事務所 中村 敬

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