駐在員雑感(第36回)「在外選挙」

日本では、参議院の選挙戦がスタートしておりますが、私のような海外居住者も、異国にいながら選挙に参加できることをご存知でしょうか?

「在外選挙制度」といって、海外に通常3ヶ月以上在住しており、20歳以上の日本人で、住民票を海外転出にしている人は在外選挙に参加できるのです。投票するためには、「在外選挙人名簿」への登録が必要になりますが、これさえ済ませておけば、国政選挙については、投票することができます。
「在外選挙人名簿」への登録は、投票当日にできるわけではありませんので、あらかじめ、各国の大使館、領事館経由で申請し、日本の各自治体の「在外選挙人名簿」への登録を行い、「在外選挙人証」を取得する必要があります。これを受取るまでには約2ヶ月程度かかりますので注意してください。手続きは非常に簡単ですので、海外在住者は取得しておいた方がいいと思います。

今回、私は初めて「在外選挙」を体験しました。参加した選挙は、第21回参議院選挙(選区、比例代表区)です。 めったにできない経験ですので、興味津津で「在外選挙人証」と「身分証明書」(今回はパスポート)を持って、上海の日本国総領事館に向かいました。館内の投票場には、案内係、受付係、受領係、立会人の方が座っており、非常に厳粛な感じがしました。

投票の手順は以下のとおりです。

  1. 会場に入ると「投票用紙等請求書」と「送付用封筒」(投票用紙を日本の各選挙管理委員会に送るための封筒)が渡され、送付用封筒に自分が登録した選挙管理委員会の住所を書きます。
  2. 記入した「投票用紙等請求書」「送付用封筒」「在外選挙人証」「身分明書」を持って、受付係に進み、パスポートにより本人確認を受けた後、「投票用紙等請求書」「送付用封筒」を受付係に提出して、「投票用紙」「内封筒」「外封筒」を受け取ります。
  3. それらを持って、候補者名を記入する場所に進み、投票用紙に候補者名、政党名などを記入します。投票用紙はまず内封筒に入れ、更にその内封筒を外封筒に入れ、外封筒に氏名を記入し、更に署名をします。投票用紙は二重に封筒に入れられるのです。
  4. 外封筒(投票用紙が入ったもの)を持って、受領係に進み、その外封筒が本人記載であることの確認を受けます。
  5. 確認が済んだ外封筒は、受領係の隣に座る立会人に渡り、立会人がサインして、再度受領係に戻ります。
  6. 最後に、受領係が、外封筒を最初に書いた「送付用封筒」に入れ、一連の作業は終了となりました。

日本での投票は、投票用紙を投票箱に入れますが、在外選挙では、投票箱に入れるのではなく、投票用紙が幾重にも封筒に入れられ、日本の選挙管理委員会に送付されるのです。投票会場は大きくはありませんでしたが、非常に厳粛な感じがし、いささか緊張してしましました。

 

この在外選挙ですが、これまで、比例区代表制の投票に限られていましたが、2007年6月から、選挙区への投票もできるようになり、今回の参議院選挙が初の「選挙区」在外選挙となったようです。この記念すべき選挙において在外選挙に参加でき、非常に感慨深いものがありました。

それから、領事館の方に伺った話ですが、上海には長期3ヶ月以上滞在している日本人は、現在約44,000人で、そのうち、有権者の割合は、おおよその推計で約75%とのことです。しかし、現在「在外選挙人証」を所有している人は、約5,000人程度とのことです。

グローバル化の進展に従い、在外で暮らす日本人は今後も増加すると思われます。

日本国民として、日本の将来を左右する選挙に参加できるように「在外選挙人証」を取得し、国政選挙があるときには、いつでも投票ができるようにしておくべきと感じました。

今回は、本当に貴重な体験をしたなと感じると同時に、私たち国民が権利を行使できるようにしっかり体制とっている領事館の方々に感謝したいと思います。

2007年7月16日
福島県上海事務所 安達和久