駐在員雑感(第22回) 「ベンツタクシーがなくなる?!」 

上海には、ベンツのタクシーが走っている。これが寂しいことに、原油の高騰、維持費の高さ、燃費の悪さなどの要因により、9月にはすべての営業を停止するという。
このベンツタクシーの営業を行なっているのは、上海の「大衆交通」というタクシー会社で、2004年に50台のベンツタクシーを導入、翌2005年にさらに50台を追加し、上海市内で合計100台が営業している。いずれのドライバーも優秀で大変親切で、安全運転、よく道も知っており乗っていて大変気持ちがよい。
料金は通常のタクシーと同じ料金(初乗り11元)であるが、路上で捕まえられる確率は非常に低く、利用する時は通常、運転手に電話して、目的地(空港や郊外など比較的遠距離の場所が主な営業)を話し、価格交渉をする。一般的には、浦東空港までの送迎に使用するケースが多いようであり、市内から空港までは200元、空港から市内まで250元が相場である。
確かに、価格が通常のタクシーと同じ初乗り料金は11元では、完全な赤字であろう。
ましてや最近の原油高。さらにベンツはハイオクを使用しており、いくら遠距離中心とはいえ、営業は厳しいはずである。
しかし、私にとっては、生まれてはじめて乗ったベンツがこのタクシーであり、なくなってしまうのはなんとも寂しい限りである。
これまでも、お客様を迎える時や家族で空港を利用する時などに数回使用したが、やはり、乗り心地がよく、高級感があり静かで、なんとなく気持ちが豊かになった様な感じがした。
私は、なくなる前にもう一度家族と乗りたいと思い、なじみの運転手に電話をしてみた。
案の定、この運転手が使用していたベンツタクシーはすでに営業を終えたという。
私がどうしても、浦東空港に行くのにベンツタクシーに乗りたいと話すと、手配してくれるという。もしかして、これが「乗り収め」かと、翌日楽しみに待っていると、屋根のところにあるはずの「大衆」の赤いタクシー看板がはずされたベンツがやってきた。

060822ベンツタクシー(写真).JPG

運転手に聞くと、8月中はまだこのままで使用可能であるが、9月になるとこのベンツも色を塗り変えられ、一般のレンタル用のベンツとなるという。
その日はベンツに乗り、浦東空港まで行った。料金は200元。運転手は、今後も私を使ってくれという。しかし車は、ベンツではなくGMのBUICKになるとのこと。
私としては、日本では絶対に乗ることができないベンツだからこそわざわざ電話して使用するのであり、これがなくなってしまうのであれば少々考えてしまう。
2年あまりで営業を終えてしまう「ベンツタクシー」。今後も乗客を驚かせ、満足させる企画が登場することを願ってやまない。
そして、9月末まで、もう一度ベンツタクシーに乗りたいと思っている。

2006年8月22日
福島県上海事務所 安達和久