駐在員雑感(第5回) 「初詣・泥棒」

年末年始は上海で過ごした。上海での年越しは6年ぶりである。
上海の街は、クリスマスセールの余韻が少々あり、デパートでは、特別割引きの値札が若干目に留まった程度で、普段の週末と同じような感じで「年末・正月」という日本のあの独特な気ぜわしさ、賑やかさは感じられず少々寂しかった。
元旦には、龍華寺に初詣に行った。中国でも初詣の習慣はあるようで、多くの人が参拝していた。線香を2.5元(32.5円 1元=13円で換算)で買い、それに火をつけてお参りした。仏前では家族全員中国式に膝まづいてお祈りをしたが、我が家4人の参拝は、他の中国人に比べて、どことなく不慣れで不恰好だったような気がした。今年の年末年始は上海はとにかく寒い日が続き、12月26日と30日から31日にかけて街が白くなるくらいの雪が降った。
以前の駐在時にも1度だけみぞれが落ちてきたいのを見た記憶があるが、街が白くなるのを見るのははじめてである。
事務所の中国人スタッフは白くてきれいと大はしゃぎであった。
福島では雪はめずらしくなく、雪が降るのは、通勤や雪かき等がたいへんであまりうれしいことではないと説明したが彼女にはそのたいへんさの体験がないため、ピンとこないのだろう。雪を見たことのない人、めったに見ることができない人にとっては、しんしんと降る雪は本当に美しくいつまで見ていても飽きないのであろう。上海の人や広東省の人に対しては雪が観光資源となるのだなあと改めて実感した。
年末の出来事でもうひとつ。生まれて初めて泥棒を目撃してしまった。
昼近くに事務所付近でタクシーに乗り、その車窓からの目撃であった。
50代くらいのおばさんがゆっくりとした速度で自転車に乗り歩道を進んでいた。
その右内側に少年のような若い男がそのおばさんの後方横にピッタリと着いて小走りで走っていた。少々おかしな光景だと思ってみていたが、案の定、少年は走りながらおばさんが肩からかけていたショルダーバックの口を開け、中のものを物色している。
おばさんは気づかず、自転車をこぎ続けている。財布をかばんから取り出した少年はそれを後方から追いかけてきたもう一人の男に渡した。受け取った男はそのまま走り去った。私が見たのはそこまでであった。車窓からだったのでその後どうなったかわからないが、あのような形で走りながら、しかもかばんを開けて物をとる手口は大変巧妙である。もし私がやられても気がつかないだろう。まして人ごみではまったく気がつかないと思う。
2人組は、あきらかに漢民族とは違い顔つきをしており、同じ民族の仲間2人での犯行のようである。私が見た光景を知人に話したところ、もしこのような場面を見たとしても、決して指摘したり、注意したりしてはいけないと言う。彼らは、逆にその指摘したり注意した人に暴力等の危害を加えたり、犯行を目撃されても決して認めないというのである。
最近日本人を狙った強盗が連続で起きている上海である。欧米に比べれば治安がよいといわれている上海ではあるが、ここは外国。自分の身は自分で守る以外に方法はないのである。

2005年1月4日
福島県上海事務所 安達和久