駐在員雑感(第43回)「不思議な縁」

  
世の中には「不思議な縁」というものが存在するようで、特に人と人とのつながりにおいては、この「縁」が非常に大切なような気がします。最近私はある1人の人物を介して「不思議な縁」を感じました。

今年9月、上海で福島県人会を開催しましたが、その時、いわき市出身でブラジルに移民され、大成功された方に講演をお願いしました。
その方の名前は、下坂 匡さんといい、ブラジル、ミナス・ジェラード州でコーヒー園を経営されておいでです。9月の訪中目的は、今後中国でもコーヒー人口が増えることが予想され、その市場調査と、中国でも取れるコーヒー豆の調査(雲南省)でした。私は、せっかくの機会だと思い、福島県人会での講演をお願いしたのです。
少々下坂さんについてご紹介しますと、1955年家族全員でブラジルに渡り、後にミナス・ジェラード州セラード地帯カルモ・ド・パラナイーバに土地を購入され、 下坂兄弟農牧商業合資会社設立されました。当時のセラード地区は、不毛の大地といわれておりましたが、下坂さんは鶏糞などの自然にやさしい肥料を使用して土づくりからはじめ、コーヒー栽培に適した土地に改良し大成功を収められました。
  現在は1,500ヘクタールの農場で、コーヒー、大豆、トウモロコシなどを栽培され、コーヒーの収量14,000俵、大豆34,000俵、トウモロコシ23,000俵、また、養鶏場(30,000羽)の経営も手がけているそうです。本当に大成功された方ですが、これにいたるまでは本当に苦労されたのだと思います。

この下坂さんが栽培した珈琲豆が、ブラジル移民100周年記念として(2008年は日本人のブラジル移民100周年です。)UUCコーヒーから期間限定で売り出されることになったのです。しかも珈琲豆の袋には、下坂さんの顔写真が入っております。また、缶コーヒーも下坂農園特製の豆が使用されているそうです。残念ながら上海では買えないようですが、日本では全国どこでも購入可能のようです。
このように有名な方が福島県人で、しかも上海で講演をいただくことができたという「不思議な縁」に非常に驚いております。

それから、上海には、この下坂農場で作られた珈琲豆のブランド「カルモシモサカ」がもう既に輸入されているのです。はるか遠いブラジルの地で福島県人が栽培した珈琲豆を、上海で飲むことができるとは、なんとも「不思議な縁」と思いませんか?
私がこの事実を知ったのは、9月の下坂さんの講演がきっかけでしたが、それまでの上海駐在3年間で、知らなかったことを少々恥ずかしく思っております。

さらに最後にビックリしたことは、私が毎日出勤前に飲んでいた珈琲が、この「カルモシモサカ」だったのです。12月のある日、ふと毎日飲んでいる珈琲豆の袋を見てビックリ。その袋には「カルモシモサカ」と書いてあったのです。(毎日珈琲は妻が入れてくれるので、何を飲んでいるのか分からない自分が情けないです。)
私が上海で何気なく毎日飲んでいた珈琲がなんとあの下坂さんが栽培した、福島県人が栽培した珈琲豆だったとは、これまたなんとも「不思議な縁」です。
当然豆を買った妻は「カルモシモサカ」が福島県人が栽培した珈琲豆と知って買っていたわけではないようです。
上海という土地は、もしかしてとても不思議な街なのかもしれません。
世界中を結びつける「不思議な力を持っている街」、「不思議な縁を創造できる街」なのかもしれません。だからこそ、福島県、ブラジル、上海も結びついたのでしょうか?!
下坂さんの栽培したおいしい珈琲を上海で飲みながら2007年を終え、新たな年を迎えたいと思います。

2007年12月28日
福島県上海事務所 安達和久