駐在員雑感(第51回)「上海でも盛り上がる健康ブーム」

 朝、通勤途中に公園や広場の前を通りかかると整然と並び集団で踊りを踊っている光景を良く見かけます。その踊りの先生らしき人が先頭に立ち、他の人は整然と並び踊っているのです。年齢は40代後半から80代までの中高齢者層がほとんどで特に女性が多いようです。踊り内容は、中国ならではの太極拳や、日本のラジオ体操のようなものと様々です。踊っている人に話を聞いたところ〝健康の為に踊っている〟〝友達がやっているからやっている〟〝楽しいから〟とのことでした。 

 変わって夕方、帰宅途中に朝と同じ公園や広場の前を通ると今度は、大音量で音楽をならしながらフォークダンスの様でもあり、社交ダンスの様でもある何とも表現しがたい踊りを踊っている集団に出くわします。さらにその隣では、お揃いの衣装や新体操のリボンのような物を持った中年女性が民族舞踊の様な踊りの練習をしています。それらの踊りの参加人数は約50人程度にのぼります。その周りには、見物人なのか、休憩しているのかわかりませんが、100人以上の人垣が踊りの集団を取り囲んでいます。さらに天気の良い週末ともなれば、一日中、これらの踊りが人を変えながら延々と続けられています。 これらの踊りには特に決まった呼び方はないようですし、また、いつから始まったかもよく分からず自然発生的に始まった様です。

 現在、この踊りが流行している理由は2つ挙げられます。〝健康に対する関心の高まり〟と〝定年退職後の余暇の過ごし方〟ということです。中国では、一人っ子政策の為、1人の子供に対し親2人、祖父祖母4人と日本以上に少子化高齢化が進んでおり、老後は子や孫の世話にはなれないとの考えが進んでいます。従って、自分の健康は自分で守るとの意識が強いようです。近年、特に沿岸部では、所得水準の上昇も著しく、食品でも健康機能食品へのニーズが高まっていますし、農薬に対する不安から有機野菜の売り行きも順調です。また、中華料理は油をたくさん使う為、中国でも成人病対策に対する関心が非常に高まっています。油を使わない刺身やすしなどのヘルシーな日本食に対するニーズも高まっています。 

 さらに〝余暇の過ごし方〟という観点では、中国では、男性は60才、女性は55才で定年退職迎えます。定年後の余暇の過ごし方として手軽な〝踊り〟が流行するのも理解できます。 今後、中国、日本共に更なる高齢化社会到来します。特に日本では医療費抑制の為、予防医学に対する関心が高まっています。健康的な生活を送る為には心身共に健康でなければなりません。日本人も退職後の余暇の過ごし方も含めて、〝健康とは何か〟ということを中国人の〝踊り〟を参考にするということも如何でしょうか。

                                          2009年1月5日

                                          福島県上海事務所 齋藤康