上海事務所3周年

2004年4月1日に上海に赴任してから、瞬くうちに3年が過ぎた感じがします。

福島県初の海外事務所の設立ということで、赴任にあたり私が心に刻んだのは、「常にチャレンジすること、失敗を恐れずにまず一歩前に進むこと」でした。

しかし、現実は厳しく、掲げたモットーどおりに、まずは失敗からのスタートとなってしまいました。2004年7月、事務所のオープニングセレモニーで来場者にふるまう予定の「福島の桃」が輸入できなかったのです。当方の調査不足もあったのですが、安易に検疫当局の少々偉い方の言葉を信じて、手続きを始めてしまったことが敗因でした。いきなり厳しい洗礼をうけてのスタートでしたが、その後各方面の方々の協力を得て各種活動を行ってくることができました。

まずは、中国人の観光客誘致についてですが、おかげさまで福島を訪れる中国人観光客は毎年徐々に増えております。昨年は上海市をはじめ直行便が飛んでいない広州市からも500人を超える誘客に成功しました。

しかし、当初中国の方に「福島」といってもほとんどの人は知りませんでした。(今でも知らない人がほとんどですが。)中国人にとっての日本は、東京、大阪なのです。(最近は北海道などが知名度を上げております。)福島県、福島県と声高に叫んでも、全く見向きもされません。むしろ「福島県は東京のすぐ近くです。」「東京に来たついでに福島にも寄ってください。」というPRの方が受け容れられることに気が付きました。知名度UPの難しさを痛感しましたので、今年は、少しでも福島の知名度を上げるため、上海の「東方テレビ」が放送する日本紹介人気番組「東京印象」で、福島県の紹介を連続4回行ないました。上海にはない豊かな自然、美味しい食べ物が紹介され、特に「美しい桜」の映像が上海に流されたため、反響は大きかったようです。

また、物産品の販路拡大については、2006年10月には県産品の展示、販売拠点としての「福島GALLERY」をオープンしました。現在でも課題はたくさんありますが、「チャレンジする」の精神に基づき、大きな一歩を踏み出したといえると思います。今後は軌道修正しながら安定飛行につなげてゆきたいと思います。

さらに、新たな交流の芽も出始めております。今年6月、佐藤雄平知事が湖北省を訪問し、青少年や大学間の交流をさらに積極的に行うことが決まりました。今年は湖北省から教育旅行やチャーター便利用による観光客誘致を促進してゆく予定となっております。

  

さて、中国においてもこの3年間では、様々なことが起こっております。一番印象的だったことは、やはり2005年4月の「反日デモ」の発生でした。上海事務所の道路挟んで斜向かいが日本の総領事館です。デモ隊は日本の総領事館に向かってやってきました。私は事務所の窓から時間を追うごとに膨らんでゆくデモ隊を目の当たりにして驚愕しました。中国リスクが露呈し、企業においてはチャイナプラスワンなど危機管理体制を再考するところもありました。

また、上海の産業構造にも明らかな変化が見られており、かつての「製造業の拠点」から、サービス分野の拠点、「世界の市場」に変化しているということを日々実感しております。10年以上に及ぶ高度経済成長の結果、多くの富裕層が出現し、年を追うごとに消費に対する感覚は洗練させ、高付加価値を志向するようになっているように感じます。 中国政府の政策にも変化が見られます。外資企業の投資環境の面では、優遇税制の廃止、人件費の高騰、人民元高とこれまで日本企業、特に製造業が恩恵を受けていた事項が次々に廃止やその魅力を失いつつあるようにも見受けられます。しかし北京オリンピックや上海万博などビックプロジェクトも目白押しで、以前とは違った角度で、世界に中国の魅力を発信しているような感じもします。これらのプロジェクトを経て中国はどのような飛躍、変化をとげるのか非常に興味があるところです。

この3年間を振り返ると、ひたすら前のみを見て、全力で走ってきたような感じがします。

無事3年を迎えることができましたのは、上海市政府関係者及び多くの福島県企業、関係機関の皆様のご指導ご協力のおかげだと思います。

ここで、また新たに初心に返り、「チャレンジすること」を忘れずに、今後も、中国ビジネスにおいて、微力ながら各企業の皆様にご協力させていただきたいと思っておりますので、更なる福島県上海事務所の活用ならびにご支援をお願い申し上げます。

2007年6月23日
福島県上海事務所 安達和久