杭州湾大橋

世界一長い大橋が来年には供用開始となる予定である。

「杭州湾大橋」 上海市の南、杭州湾の中ほどに、全長36キロメートルの橋の建設が進められており、今年6月14日に橋の両岸が繋がった。今後、細部の工事が行われ、正式な供用開始は2008年のオリンピック前の予定です。(概観は写真参照)

この「杭州湾大橋」は、全長36キロ、片側3車線、総工事費は140億人民元(2,240億円:1元=16円で換算)で、浙江省の民営企業17社が総工事費の約半分を拠出している。これだけ大きなインフラ建設プロジェクトを、民営企業の資本が多くの部分を占めるのは、いかに浙江省の民営企業の力が強大かを物語っている。

工事は2003年末に開始され工事期間約5年。橋の形状は直線ではなく、緩やかなS字を描いている。橋の通行料は1台片道80元の予定である。

橋の途中には、緊急避難用のスペースや観光用の展望台も建設される計画で、一部関係者の話では、その展望台に隣接してホテルも建設されるという。海の真ん中にホテルを建設してしまうところが中国的であると感じた。

工事施行に際して、最も苦労したのは、杭州湾の気候条件と海底のメタンガスの処理であった。杭州湾の南約9キロ付近に、メタンガスが不規則に発生する箇所があり、工事に大きな影響を与えたという。また、杭州湾の風や霧も大きな障害になり、これらの悪条件が重なり、年間で工事が行える日数は最高で180日程度であったという。

この橋の完成により、上海から浙江省の寧波までも移動は、距離にして120キロ、時間にして約1時間半短縮される。これまで寧波へは、滬杭高速で杭州市まで行き、それから紹興市を経由して、寧波市に至るL字型の移動となっていた。橋の完成により、上海市から浙江省嘉興市へ南下し、乍浦から慈渓市経由で寧波市に移動できることとなる。

 

この橋の完成によって、注目される都市のひとつである寧波市を紹介したい。寧波市は人口540万人。浙江省の東部海岸線に位置する港湾の街である。主力の北侖港が大陸4大港湾の1つで、30万トン級の貨物船が寄港できる能力を持ち、コンテナバースは水深15m、延長900mの埠頭がある。2005年のコンテナ貨物取扱貨物520万TEUで中国第4位である。

主な産業は、プラスティック成形を中心とした金型や鋳物産業の集積地である。金型企業は3,000社以上。プラスティック成形機の生産シェアでは中国大陸の生産量の50%以上を占める。

また、寧波市は一人当たりの可処分所得が非常に高く、長江デルタ地域では、第3位の19,674元となっている。注目したいのは、杭州湾大橋の南側の都市、寧波市、紹興市、杭州市がいずれもトップ5に入っている。杭州湾の南側には非常に裕福な人たちが住んでいるといえる。

寧波市は日本とのゆかりも深い。かつて日本の遣唐使船が到着した港であり、また南宋の時代には、曹洞宗の開祖「道元」が中国に修行に来た際に上陸したのもこの寧波であった。道元は修行を終え日本に戻り永平寺を建立した。

また、上海人の約3分の1は寧波から渡ってきた人たちであり、多くの人が今でも寧波に親戚や知り合いが住んでいるという。

この橋の完成により、さらに上海及び杭州湾周辺の都市との往来が便利になり、また新たな発展が期待できるかも知れない。

杭州湾大橋(慈渓市方面から嘉興市方面に向かって撮影)

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杭州湾大橋の位置

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2006年長江デルタ主要都市の平均可処分所得(一人当たり平均)

順位 都市名 金額(人民元)
1 上海市 20,668
2 台州市 19,953
3 寧波市 19,674
4 紹興市 19,178
5 杭州市 19,027
6 蘇州市 18,532
7 無錫市 18,189
8 湖州市 17,758

中国統計年鑑、東方早報、NNA

2007年6月25日
福島県上海事務所 安達和久