中国ネットショッピング事情について

ネットショッピングは、多くの中国人にとってはまだまだ新しい代物ですが、ここ数年間の銀行クレジットカード体系の発展と通信インフラ整備の進展に伴い、急速に普及しており、特に大都市での利用者は急増しております。

市場特徴――寡占ないし独占局面が形成されつつある

中国のインターネット事情に詳しい有力市場調査会社の北京正望諮詢有限公司が先日発表した「中国2006年度ネットショッピング調査報告」によると、北京・上海・広州の3大都市では400万人以上が去年、ネット上で買い物をしたことがあるということです。この400万人を超えるネットショッピング人口で利用の多いサイトのトップ5は以下のとおりです。

  • 淘宝ネットhttp://www.taobao.com)で約290万人
  • 易趣ネットhttp://www.ebay.com.cn)で約90万人
  • 当当ネットhttp://home.dangdang.com)で約90万人
  • 卓越ネットhttp://www.joyo.comで約80万人
  • 拍拍ネットhttp://www.joyo.com)で約30万人  

1位の淘宝ネットの利用者数が2位以下を大きくリードしていることがわかります。

ちなみに都市別で見ると上海が176万人で最も多く、次いで北京・広州・成都・武漢と続きます。消費能力の高い長江デルタ地区のネットショッピング利用者は、ほとんどが「淘宝ネット」しており、この業界をリードしていると言えます。

また消費金額から見ると、「淘宝ネット」は、北京・上海・広州三都市のネットショッピング総額の81.9%を占めているのに対して2位の「易趣ネット」は、わずか15.4%にしか過ぎませんでした。

このほか、「淘宝ネット」と「易観国際」(中国国内で権威のある調査研究機構)が共同で行った「2007年第1四半期淘宝ネットショッピング報告」によると、2007年第1四半期に「淘宝ネット」を利用して成立した商品の取引総額はすでに70億元にも達しており、取引手数料、商品登録費用や広告費用の明細は公開されていませんが、推測するに相当な金額になるのではないかと思われます。同社のCEOである孫氏の話によると、「2009年までに淘宝ネットは取引規模が1000億元に達する」ということです。

急速発展の原因――起業意識による推進と消費者概念の転換

中国のインターネットショッピングは1998年からスタートし、2003年頃から躍進的な発展を遂げています。パソコンやブロードバンドの普及が一因ですが、国民の起業意識向上も、その推進に大きな役割を果たしているといえます。

それは、中国の高等教育の普及によって、大卒者の数が増え、理想的な就職先を見つかることはなかなか難しなっており、起業を考える新卒者が、低コストで手軽に会社を作れることから、まずネットでショップを作る人は非常に多くなっているのです。

また、ネットショップの増加から、物流などの需要も増えており、産業振興策だけではなく、失業対策の面からも政府が若い人の創業を奨励し、設立手続きの簡素化や税負担などの面で便宜を図っており、このことが、ネットショップ開設の流れに拍車をかけることとなっています。

それから、ネットで買い物をしているユーザーの生活習慣が変わっていることも重要な原因だと考えられます。つまり、価格に対するこだわりよりも生活の利便性、快適性を追及する考え方に変わってきているということです。ネット上の商品は、単に安いから買うのではなく、商品の種類が豊富で選択肢が多く便利だからというように変化しているようです。

2006年第1四半期までにデジタル製品、服装、化粧品などの商品が中心でしたが、2006年の第3四半期からは粉ミルク、キッチン用品、建材などの日常用品までが売れ筋の商品となりました。調査によると、プリペイド式携帯電話のリチャージカードのようなどこでも売っているものまで、「淘宝ネット」で売られ、一日の売り上げだけでも150万元に達するということです。

数多くある問題点――ネットセキュリティー、にせものや信用度低下問題の顕現

ネットショッピングの発展が便利な生活を与えてくれている一方、その潜在的リスクも軽視できません。上海市消費者権益保護委員会が約7,000人のネットショッピング利用者に対して行った調査によると、ネットショッピングが「安全でない」と「少々安全でない」と答えた人がそれぞれ10%と42%を占め、「安全」と答えた人はわずか8%しかいませんでした。

ここでいう「安全」というのは、具体的に次の事情が挙げられます。

まずはネットセキュリティーについてです。クレジットのカード番号や暗証番号がハッカーによって盗まれ、インターネットバンクからお金が引出された被害例が、最近新聞などで頻繁に報道されています。この問題を解決するために消費者の自己防衛意識の向上が求められると同時に、ネット側のセキュリティー措置のレベルアップも必要となります。

次にネットショッピングで、にせものや品質の悪い商品が売買されることがあります。この場合は、信頼できる格付けの高い売り手から買い物をすれば問題の発生する確率は低いですが、消費者のクレーム対応体制の充実が求められています。

三番目は、先払いの買い物システムを悪用し、架空の商品を見せかけてネット購入者の商品代金を騙し取るケースです。ここ2、3年多発していましたが、最近ではネットショッピングの運営者が代金を一時預かり、商品引渡し後代金を売り手に渡すという形式を採用し始めたため、このようなケースは減少しているということです。

このほか、一部の不良店舗では、利用者が契約内容をあまり確認せずに、「契約内容を同意する」をクッリクしてしまうことを悪用して、利用者に著しく不利な契約内容を設置する場合も見られます。

現在では、これらの問題点は徐々に改善する方向にありますが、競争の激しい業界において、ネットショッピング利用者保護のための各種手法にいかに投資ができるかが、顧客獲得の大きなポイントとなるといえるでしょう。

今後の動向について

中国インターネット情報センターが今年1月に発表した「第19回中国インターネット発展状況の統計報告」によると、2006年末までに中国のインターネット利用者は、すでに1.37億人に達しています。良好なサービス体制と信用社会の構築が確実に進行することに伴い、より高い物的生活を追及する都市部の若者の利用がますます拡大する一方、空間と時間を越えて自由に利用できるネットショッピングは、実際の店舗が乏しい中国の中西部地区にある膨大な人口にとっても広く受け容れられる可能性があるとおもられます。

中国政府は、第3次産業を大きく発展させる産業振興策を採用していることもあり、ネットショッピングは、今後も大きな発展が期待できると予測しています。

参考資料:

  • 中華工商時報
  • 青年報
  • 新華ネット
  • 解放日報
  • 新聞晨報
2007年6月10日
福島県上海事務所
仲 琪