上海洋山深水港開港

上海市の東南部、南匯区の東南端の海上に建設されている「上海洋山深水港」が12月10日に開港することとなったと上海の新聞数社が伝えている。(解放日報、第一財経日報)

この洋山深水港は、上海市南匯区芦潮港の東南沖27KMの海上に浮かぶ「大洋山」「小洋山」の2つの島を利用し、海を埋め立てて建設されるもので、南匯区からは、「東海大橋」という全長31KM、片側6車線を有する大橋で結ばれている。

洋山深水港の工事は、2002年6月に始まり、今回開港するのは、第1期工事分で、埠頭の長さは1,600M、最大水深15M、コンテナバース5つを備え、年間220万TEU(20フィート標準コンテナ換算)の取扱が可能となる。

2010年には、埠頭の長さ10KM、コンテナバース30、年間取扱コンテナ1500万TEU超を目指すという。

そもそもこの洋山深水港が開港することとなった背景には以下の要因がある。

まず、急激な経済成長に伴い、上海港のコンテナ貨物の取扱量が急激に増加したことである。1995年153万TEUに過ぎなかった上海港のコンテナ取扱量は、2004年には約10倍の1,455万TEUへと急激に上昇し、現在ではシンガポールについで世界第3位となっている。中国の経済発展により、世界の工場となった中国、特に上海から日本や欧米への輸出入が拡大し、これまでの上海港では、取扱量が限界に達しているのである。

そもそも上海港というが、これはひとつの港を意味するのではなく、揚子江支流の黄浦江沿いにある旧来の港湾ターミナルと、1995年に建設された揚子江の河口に面する外高橋とに分かれている。

従来の黄浦江沿いの港湾のコンテナ取扱量は250万TEU程度であり、これを補いために、1995年に浦東地区の北側に外高橋が建設され、合計年間約1,000万TEU程度のコンテナ取扱いが可能となったが、その後も上海港の貨物は増え続け、2003年には1,000万TEUを超え、港の更なる拡大が必要な情況となっていた。

しかし、外高橋港には、地理的な要因でさらなる拡張には制約があった。

つまり、外高橋は、揚子江の河口に位置しており、揚子江から流れ出る大量の土砂のため、水深が平均で10-12M程度、ところによっては7Mとたいへん浅く、大型の船の入港には適さない。さらに毎年浚渫が必要となる。今後増え続ける貨物に対応するためには、深水のある自然の良港が必要であるが、揚子江の河口付近では、深水の良港の確保は難しく、沖合い30Kもの場所に、巨額の建設費を投じて洋山深水港が建設されたのである。

第1期だけでも推定120億元(1,800億円)の投資により完成した洋山深水港であるが、この港は、単なるコンテナ取扱いの港ではなく、もうひとつの特徴を持っている。

それは、中国初の「保税港」となることである。保税港には、従来の保税区や物流園区を上回る優遇政策が導入される見通しであるが、具体的内容はまだ明らかにされていない。

政府関係者の話によれば、「従来の保税区に自由貿易の機能を加えたもの」で香港のようなフリーポートを目指すようである。

今後、洋山深水港の開港により、上海の物流基地としての世界的地位はさらに上昇することは間違いなく、さらに保税港としての機能にも期待したいところである。


資料:

  • NNA上海2005.10.17、11.24。
  • THE WORLD COMPASS 3月号。
  • 日本海事広報協会HP。
  • China Weekly Review 123号。
  • 中国海事通信2002.5月号。
  • 上海解放日報。
  • 第一財経日報。
2005年12月15日
福島県上海事務所 安達和久
(この原稿は「グローバルふくしま」12月号掲載の記事です。)